IT技術者は著作権で事業投資をし、経営者は現金で投資する

自分のビジネスを行うと言う意味では、事業を行うのに実際に投資をしなくてはなりません。まず、投資なしにビジネスを行うことはできません。

そう言う意味では、IT技術者は、資金があまりない状況で起業をするのは、とても有利なのです。ただ、あまりにも有利な故に、自分で自分の価値を過小評価してしまうことがあるので、自分への戒めも含め、きちんとその辺を防備録として書いておこうと思います。


前半は、かなり否定的な話になってしまいますが、あえてこういう本当の基礎の部分をふまえてこそ、現実に両方がハッピーになる提携が出来るわけで、この部分でのなあなあはパートナーと長く事業をやっていく上では無視できないと思います。でも、ここが越えられるパートナーが見つけられたら本当にお互い安心して楽しく事業が出来るとおもいます。


僕のように、パッケージを自分で作った場合、そのパッケージ販売の大元で共同事業を行うためには、そのパッケージをどこかのSIerに発注して作った場合の相場の金額を「今」現金で払えなければ資格はありません。なぜならば、投資というのは、将来売れる売れないと関係なく価値を「今」つけてそのリスクを負わなくてはならないからです。


なぜ、そのようになるかというと、それは、共同事業ということになると、IT技術者に対して今まで行ってきた投資の成果物に対して自由に扱う権利を放棄させるからです。また、独占的な契約を要求してくる場合も同様です。ただ単にソフトウェアの使用権を与えてほしいとか、再販させてくださいという場合には、こういうことはありません。なぜならば、IT技術者の権利を放棄させることはないからです。


また、「現金で払えなければ資格はありません」と言う風に書きましたが、これは著作権同様に別に現金に相当する価値であればよいと思いますが、現実的にはそういうケースはあまりないのではないかと考えてそういう表現にしています。


なにか、きちんとしたノウハウのあるところと組む場合は、きちんとその事業のなかでどちらがどこに責任を持つか、そしてそれに対して独立した金額を割り振っていけば問題になりません。逆にそれで納得出来ないようであれば、相手は「実行可能なきちんとしたノウハウを持っている」とは言えないでしょう。

この手の提携はとても有効な提携であり、WinWinになっていくと思います。IT技術者だけで一つのサービスを組み立てるのは難しいわけで、他業種の人と組むことで、より、他ではまね出来ないサービスになっていきます。

ただ単に今簡単に組み合わさる場合ではなく、お互い歩み寄ってこの世の中にないサービスを作ろうという提携は本当にすばらしい提携だとおもいます。お互い、ITだけ、他業種だけの知識では出てこない知識が出てきて、これを共有することが出来ます。「共有することが出来ます」と書きましたが、これは両方がきちんと現場レベルまで真面目に考えた場合です。


単に形だけの新事業共同の設立では、どちらか一方にしかノウハウがたまらず、一方は政治的に相手の行動を制限することに集中してしまうので空中分解します。「うまくいきそうだけどうまくいかない」とか「もうちょっとでいつもダメなんだけど、運さえ良ければ」「相手が自分のことだけ考えて自分だけ成功しやがった」なんて言っている人はこのタイプです。

とくに、「相手が自分のことだけ考えて自分だけ成功しやがった」なんて場合には文句があれば自分もそこで得たノウハウを自由に駆使して自分も成功すれば良いだけの話です。それが出来ないとしたら、「自分は経営者だから現場はどうでもいい」なんてアホな逃げに走らず、自分に実力がないということを認めて、コツコツとそこを補う努力をすべきでしょう。

厳しいことばかり書きましたが、でも、異業種で付き合う場合は、相手が自分の業界のルールについて分からない場合は、きちんと丁寧に教えるべきだとおもいます。そうすれば相手も丁寧に教えてくれます。きっと、そういう知識のやりとりから、この世知辛い世の中でも相手への信頼ができて、新しいサービスや事業が誕生するのではないかと思います。


あとは、営業だけやる人、もしくは単なるコーディネーターは事業に投資したとは言えません。なぜならば、営業や広報活動は経営とは言えないからです。経営というからには、自分が営業して決めたことに対してリスクと責任を負わなくてはならないからです。

リスクと責任を負わない場合、なんでいけないかというと、事業の一部分にしか神経がいかないというか全体が見えないからです。そういう投資やリスクを負って初めて、きちんと現場まで見つめて自分のやる範囲は「じぶんでやる」と言えるのではないでしょうか?金銭的リスクすら負わない丸投げはリスクを負ったとはいえません。


でも、こういう人って結構多いです。パートナーがやっていることの価値や苦労、乗り越えたハードルが見えないためあたかも自分が事業をやっているようなことを平気でいいますが、放っておきましょう。


逆に、そうでない人に出会えたときには、しっかりスカウトしましょう。きっと良い関係で今までの「先の見えないトンネル」に先が見えて、燃え尽き症候群的な精神状態も一気に晴れると思います。