ITベンチャーが行う新規営業に経営者向け提案は通用しない

ITベンチャーにとって営業というのは非常に課題である。ITベンチャーの経営者であれば、だれしもが、そのような本や情報を集めているのではないのだろうか。

自分もそういう本を買ったり立ち読みしたりいろいろしてみたが、「経営者の立場に立って考えろ」という内容がおおかった。また、別の言い方をすれば、「技術とか機能は経営者にはわからないから書くな」とかいう内容が多かった。

だが、本当にそうだろうか?
実際に、ナウでヤングな成功しているネットベンチャーはWebの問い合わせから得て営業活動につなげているが、実際に見てみると、ちゃんと機能を説明している。むしろ、機能をわかりやすく紹介しているのがメインなくらいだ。

そこで、営業のプロセスということで、相手を知ることから始めてみようとおもう。うちはソフトウェアベンダーなのでソフトウェアを購入するプロセスは次のようになる。

ここで、やはりネットベンチャーでうまい人は、もう探している人を狙っている。ここはSEOサーチエンジン検索なら、探すときに検索するキーワードで狙い撃ちがやりやすいフェーズだ。旧来の営業の人はテレアポや紹介でひたすら経営者にかなり前のフェーズでアタックするのだろう。だから、経営者向けの提案になるのかな。

さらに、もっとくわしく状況を分析すると次のようになる。

経営者にアタックするのは、本当に信用というか人間関係だけでなく、過去の仕事の実績で頼られているとかいう関係ができていないと無理である。なぜならば、経営者は自社の社員と比べて信頼できる方の意見をとるからだ。ただ、「一緒に酒を飲んだ、よく飲む」「ゴルフに一緒に行った」というだけでは話にならない。だとすれば、新規営業では、無理やりコネを作ったり、ちょっとした知り合いを掘り返して経営者にいきなり突撃アタックするのは効率が悪すぎるはずである。

ここで、成功しているネットベンチャーを思い出すと、彼らは完全に待ち受け営業、しかも経営者から能力があると信頼されている相手に絞っている。つまり、「機能」で売っているのだ。このフェーズなら、顧客は、プランが実行できたときの費用対効果を理解しているので、具体的なプランの実行方法が知りたがっているし、こちらもそれに徹底的に合わせればいい。

しかも、コテコテのテレアポとかどぶ板営業とかではなくて、資料作成で営業ができてしまう点も、技術者向きだ。

ただ、営業マン(現場レベルの専門知識がない営業専業の人)にはこの作戦は実行できない。なぜならば、現場の人が納得するような資料が作れないからだ。しかも、彼らにとってこの方法が成立することが、利害関係として都合が悪い。資料を置いて、広告で見てもらうだけの待ち受け営業が成立してしまっては、彼らの出番がなくなってしまうからだ。

本を読むときは、本を読むだけではなくて、書いた人のバックグラウンドを知る必要がある。そうしなければ、筆者の利害がらみの希望的観測で正しい情報を手に入れることができない、もしくは、自分には合っていない方法を一生懸命考えることになってしまう。