お金かやりがいか?

よく、世の中では

あなたはお金とやりがい、どちらを選びますか?

という質問が転職サイトなどに良く載っていると思います。僕は、この質問は日本固有のカルチャーではないかと思います。

日本人はとにかく「特化」という言葉が大好きです。だから、どんなサービスをみても、無理やり特化させているものが多いような気がします。汎用的なものなのに業界別とかそういうカテゴリでくくってみたり、結構そうすると本格感がでたりします。

営業のプロセスとしてこの「特化」というキーワードは正しいと思います。ただ、「働くためのスタンス」とか「経営スタンス」とか「人生観」とかそういう長期的なビジョンに対して特化というのはちょっとよくないような気がします。特に「働くためのスタンス」や「経営方針」で特化するだけというのはどうかと思います。

特化させる狙いというのは、「目標を引き下げてそこだけはばっちり出来ることを分かりやすく、最低限保証するスタンスを示す」ということだと思います。とても謙虚な姿勢です。だから日本人受けすると思います。なので、営業やマーケティングのうえでは、「その部分のみをアウトソーシングしたい」と思っている顧客に対して絶大な効果があります。なので、マーケティングとしてはすごく使えます。

しかし、そのスタンスで語ってはいけないものもあると思います。「お金」と「やりがい」、この2つを同時に実現しようとするのはかなり難しいことだと思います。だからこそ、「経営」や「すぐれたビジネスプラン」には人をひきつける魅力があるのではないでしょうか。

たくさんの玉を持ってお手玉をやっている人が「すごい」と感じられるのは、いくつもの玉を同時に扱っているからです。もし、これが玉がひとつだったらだれもすごいとは思いません。

これからの日本市場を攻める上で、こういう「特化」とは相反した部分に手付かずなニッチがあるのではないでしょうか。もちろん、マーケティング上の見せ掛けとしては何かしら「特化」という部分を打ち出してうまく集客すべきだと思います。でも、矛盾するようなのですが、「特化」のなかに「特化だけでは実現し得ないもので、顧客が望むもの」があればそれは大チャンスにつながるのではないかと思います。